その他様々な労使トラブルについての事例
本採用の前に試用期間を設ける時、期間はどの程度の長さまで認められるか?
これまで新規学卒者を主に採用してきたA社製造部門は、パート社員の正社員登用をすることにしました。A社は1年の試用期間を定め、その後正社員に採用することを決めました。これを聞いたパート社員Bさんは憤慨しました。Bさんは既に2年間もパート社員として勤務していて、正社員となっても業務はほとんど変わりません。しかし試用期間中の賃金は、正社員と比べて1割以上低くなってしまいます。Bさんは、A社に対して異議を申し立ててきました。
法的判断
このケースの場合、A社の設定した試用期間は不当に長いものと判断される可能性が高いでしょう。試用期間の長さについては法の規制はありませんが、一般的には1ヶ月から6ヶ月位の期間が設定されています。しかもBさんは、2年間パート社員としての経験があります。試用期間を1年とするのは整合性に欠けるとされてしまうでしょう。
試用期間とは、会社が本採用を決定する前に、社員の職務遂行能力や適正などを判断するための期間をいいます。試用期間中は解雇事由の認定が比較的緩やかであり、社員の立場が不安定であることから、あまりに長すぎる試用期間は無効とされる可能性があります。
試用期間は、一般的に、採用時に提出された資料や採用時の試験・面接だけでは新入社員の能力・職務適正・性格などについて十分に判断出来ないことが多いため、実際の働きぶりを見て最終的な採否を決めようとするものです。しかし試用期間という条件をつけたとはいえ、採用したことには変わりありませんので、当然、社員として扱わなければならず、労働基準法の適用もあります。
試用期間中であっても、雇入れの日から14日を経過すると、解雇予告制度が適用されます。さらに、おおむね6ヶ月を経過すると、最低賃金法の適用除外者でなくなるとする判例もありますから注意が必要です。また、試用期間中も通算勤続年数に加味することを忘れないでください。
会社が取るべき対策
社員にとって、試用期間中は不安がつきまといます。そのような状態で仕事に対する士気を高めることは難しいともいえます。つまり、必要以上に長い試用期間は、生産性が上がる「よい仕事」を望めないことにもなってしまうでしょう。


