対応も不法行為に当たるといえない/河合塾事件 (H22.4.27 最一小判)
予備校で契約期間1年間の出講契約を25年繰返してきた非常勤講師Xが契約交渉をめぐって出講契約が更新されなかったのは、実質上の違法な解雇に当たるとして、予備校に対し雇止めの無効及び地位確認、賃金の支払い、慰謝料などを求めていた事件。
判決
一審判決では、予備校には講義ガイドブックが存在し、「業務遂行上の指揮命令関係が一定程度存在する」・「時間と場所に関する裁量は、一切認められていない」・「講義料は賃金としての性格が強い」・「Xの業務に代替性はない」・「Xの予備校への専属性の程度は高かった」こと等から、本件出講契約は労働契約であると認め、その上で、本件出講契約の終了を雇止めと認めた。しかし、契約内容や実態判断から、期間の定めの無い雇用契約ということはできないし、Xが出講契約の継続を期待することは、合理的なものということはできず、本件雇止めは有効であるとした。また、契約終了に至る経緯については、判断と手続きのいずれも合理的であるとし、さらに、Xがあっ旋申請をしたことを理由に予備校が雇止めの判断をしたと認める証拠はないとし、Xの訴えを棄却した。
二審判決では、Xが平成18年度の出講契約書を指定の期日までに発送せず、その後の予備校からの意思確認に際しても、次年度の契約書を提出する意思はない旨回答するなどしている以上、いかなる意味においても平成18年度の出講契約が締結されなかったことは明白であって、これを予備校からの雇止めであるとするのは無理があるものといわなければならない。本件出講契約の終了はX自らの意思で契約を締結しなかったことによるのであるから、賃金請求権はないとした。一方、予備校の態度は、Xの切実な反論とその境遇に対する配慮に欠けること甚だしいものであり、予備校の些か理不尽ともいえる態度が、Xに自己の労働契約上の権利に依拠して冷静な対応をすることを断念させ、消極的な反抗へと追い込んでいったという面があることを否定できないから、予備校の態度はXに対する不法行為を構成するものであり、精神的苦痛に対して350万円の慰謝料を支払う義務があるとした。
本件最高裁判決は、事実関係等によれば、Xと予備校との間の出講契約は、期間1年単位で、講義に対する評価を参考にして担当コマ数が定められるものであるところ、予備校が平成18年度におけるXの担当講義を週4コマに削減することとした主な理由は、Xの講義に対する受験生の評価が3年連続して低かったことにあり、受験生の減少が見込まれる中で、大学受験予備校経営上の必要性から見て、Xの担当コマ数を削減するという予備校の判断はやむを得なかったもの。また、平成17年中に平成18年度のコマ数削減をXに伝え、2度にわたりXからの回答を待ったものであり、その過程で不適切な説明をしたり、不当な手段を用いたりした等の事情があるともうかがわれないとし、平成18年度の出講契約の締結へ向けたXとの交渉における予備校の対応が不法行為に当たるとはいえないとして、二審の判決を取り消し、一審の判決が正当だとした。
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