三六協定違反に罰則ないが訴因変更を認めるべき/A社(労基法違反)事件 (H21.7.16 最一小判)
代表取締役Aが、時間労働の労使協定を超えて労働させたことと、道路交通法違反(過労運転の容認)を行ったことから、タンクローリーによる事故を誘発したとして、労働基準法違反などに問われた事件。
判決
Aが代表取締役を務めるB社は、過半数代表者との協定で、1日につき7時間、1ヶ月130時間などと定め、平成17年4月15日、大津労働基準監督署長へ届出ていたが、労働者Cが1ヶ月130時間を超えて、同年11月16日から12月15日までの間に15時間30分、同月16日から平成18年1月15日までの間に38時間15分の合計53時間45分の時間外労働をさせたというものだった。
一審判決は、公訴事実を概ね同旨の事実を認定し、被告を有罪と認定した。これを不服とした被告が控訴したところ、二審は「違反にかかる週が全く特定されておらず月単位の時間外労働協定違反の事実を認定したものであるが、適用された法令である労働基準法32条1項は週単位の時間外労働を規制するものであって、月単位の時間外労働には直接の規制は設けられておらず、また、いわゆる36協定違反については罰則が設けられていないから・・・・・・犯罪を構成しない」として一審判決を破棄、労働基準法違反部分を無罪とした。
また、検察官の請求した週単位の時間外労働の事実を明示する予備的訴因変更を不許可としたが、その理由について「時間外労働を構成する労働日ないし労働時間が基本的に同一であるにしても、違反している規範を異にしている場合には、それらの時間外労働は社会通念上別個の事実であり両立し得るものであって基本的事実関係を異にすると解すべき」とした。
本件最高裁判決は、予備的訴因変更について「週を特定し、週単位の時間外労働の規制違反の罪を明示して瑕疵を補正したものと理解できるから、原審は、上記適正な訴因となるように措置した上、予備的訴因変更を許可すべきであったと解される」として高裁に差し戻した。
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