営業秘密使用せず自由競争の範囲内で不法行為ではない/三佳テック事件 (H22.3.25 最一小判平)
金属工作機械部品の製造等の会社(Y社)に勤めていた、A(主に営業を担当)とB(主に製作等の現場作業を担当)が、平成18年4月頃から、共同で会社と同種の業務を営むことを計画。Bが同年5月31日に、Aが6月1日に会社を退職した。なお、Y社とAらとの間で、退職後の競業避止義務に関する特約等は定められていない。
Aは、退職するにあたり、営業を担当していた4社にあいさつをし、うち2社に対して、退職後に同種の事業を営むので、受注を希望する旨を伝えた。
共同で立ち上げた会社(S社)に、Aが代表取締役として6月5日に就任。S社は、平成18年6月以降、受注を希望する旨を伝えた1社から、仕事を受注するようになり、同年10月頃からは、Aが営業担当していた3社から継続的に仕事を受注するようになった。
Y社は、もともと積極的な営業活動をしておらず、Aらの退職後は、受注した仕事をこなすのに忙しく、従前のように取引先へ営業に出向くことはなくなり、受注額は減少した。Aが営業担当していた4社に対する売上高は、従前Y社の売上高の3割程度を占めていたが、Aらの退職後、従前の5分の1に減少した。その事でY社は、Aらに対して、競業避止義務違反による債務不履行または不法行為に基づき損害賠償を請求した事件。
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改善の見込み乏しいとして解雇による不法行為を否定/飲酒役員損害賠償請求事件 (H22.5.25 最三小判平)
本件は、飲酒癖のある兼務取締役(以下、Aという)が、取引先からの苦情や無断欠勤を理由に解雇されたため、不法行為に基づく損害賠償を求めた事件。
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業務委託契約のCEは労組法上の労働者である/INAXメンテナンス事件 (H23.4.23 最高裁第3小法廷)
会社は、住宅設備機器の修理補修等を業とし、従業員200名うち、修理補修業務に従事する者は当初27名に限定されていた。修理補修業務の大部分は、約590名のカスタマーエンジニア「以下CE」により行われていた。CEは、会社と基本的業務委託契約を締結し、個別業務につき個別業務委託契約を締結し業務を遂行していた。
CEが、労働組合に加入して分会を結成し、会社側に労働条件の変更等を本件議題とする団体交渉を要求したが、CEは雇用契約を締結した労働者ではないとして、この申し入れを拒絶した。そのため、組合側はCEの労組法上の労働者に当たらないとの理由でこれを拒否した会社の行為は、労働組合法7条2号の不当労働行為当たるとして争った事件。
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対応も不法行為に当たるといえない/河合塾事件 (H22.4.27 最一小判)
予備校で契約期間1年間の出講契約を25年繰返してきた非常勤講師Xが契約交渉をめぐって出講契約が更新されなかったのは、実質上の違法な解雇に当たるとして、予備校に対し雇止めの無効及び地位確認、賃金の支払い、慰謝料などを求めていた事件。
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三六協定違反に罰則ないが訴因変更を認めるべき/A社(労基法違反)事件 (H21.7.16 最一小判)
代表取締役Aが、時間労働の労使協定を超えて労働させたことと、道路交通法違反(過労運転の容認)を行ったことから、タンクローリーによる事故を誘発したとして、労働基準法違反などに問われた事件。
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偽装請負は労働者派遣で雇用関係はない/パナソニックプラズマディスプレイ事件 (H21.12.18 最二小判)
A社の業務を請負っていたB社で業務に従事する労働者Cが、A社に直接雇用されてから1人でPDP「プラズマディスプレイ」のリペア作業に従事したところ、A社による解雇及びリペア作業への配置転換命令が無効であること、雇用契約上の権利を有することの確認、賃金の支払、リペア作業に就労する義務のないことの確認、不法行為に基づく損害賠償を請求した事件。
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基礎疾患ある者の連続出張は死亡原因の30%/NTT東日本北海道支店(差戻し)事件 (H21.1.30 札幌高判)
陳旧性心筋梗塞(遺伝性の家族性コレステロール血症(ヘテロ型))と診断された労働者Aが、約2ヶ月にわたる宿泊を伴う研修に参加していて、その間の休日に帰宅し、墓参りに出かけて死亡しているのが発見された。遺族は、会社がAの健康状態に十分な注意を払わず、宿泊を伴う研修に参加させたことが原因として、安全配慮義務違反による不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を請求した事件。
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外国人研修生も事実上雇用契約で最低賃金適用/三和サービス事件 (H21.3.18 津地四日市支)
外国人技能実習生が作業をボイコットしたことにより損害が発生したとして、事業主が、外国人実習生に対して損害賠償を請求した一方、実習生側も解雇が無効であることともに、実習期間満了までの賃金相当額の支払、残業手当及び付加金の支払いを求めたもの。
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合理性ない長期休業で休業手当との差額保全必要/いすゞ自動車事件 (H21.5.12 宇都宮地栃木支決)
平成20年11月17日に、会社は原告を含む期間労働者全員553人に対し、12月26日を解雇日とする解雇予告を行った。これに対して、原告らは12月4日、契約期間途中の解雇は労働契約法第17条1項の「やむを得ない事由」が認められないので無効であるとして、解雇予告の効力停止を21年1月から4月7日までの平均賃金による仮払いを求めていた。
会社は、12月24日、解雇予告を撤回し、すべての期間労働者と労働組合に対し、労働契約の合理解約を申し入れ、これに応じない者について27日以降、各人の労働契約の契約期間満了日までの間の所定労働日について休業扱いとして、労働基準法第26条などに基づく平均賃金の6割の休業手当を支給することとした。
そこで原告らは、本件仮処分の申立の趣旨を変更し、民法536条2項により反対給付を受ける権利は失われておらず、その賃金請求権の金額は、少なくとも本給1日当り9000円に所定労働日を乗じた金額となり、この金額から平均賃金6割の休業手当として支払った金額を控除した金額の支払を求めたもの。
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両親を介護する配置命令は受忍限度超える/NTT東日本(配置)事件 (H21.3.26 札幌高判)
経営計画に基づいて、これまでの業務を外部の子会社に委託する一方で、平成14年3月31日時点で50歳以上59歳以下の従業員については繰り延べ型、一時金型、60歳満了型のいずれかを選択することを求め、選択通知を出さない場合は「満了方」を選択したものとみなすこととされた。
さらに満了型を選択した者または選択したとみなされる者には、平成15年3月31日時点で、再度選択通知書の提出を求めている。
A社の従業員Bら5人は、いずれも選択通知書を提出せずに、「満了型」を選択したものとみなされていた。
選択通知を出さなかったBら5人が平成14年7月1日に配置を命じられ、これに対する慰謝料を求めた事件。
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退職年金の廃止により一時金支給も合理性あり/バイエル薬品ほか事件 (H21.10.28 東京高判)
税制的確年金を退職金として、毎月230,960円を受給してきた退職者A者が、勤務していたB社がその一部を譲渡し、C社となった後に税制適格年金を廃止し、退職年金を一時金として支給することにしたことを認めなかったことから、B社は、一時金として供託した。Aは、退職年金を一時金の支給に変更することはできないとして、退職年金を支払う義務の確認を求めたもの。
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登録型派遣は常用ではなく雇い止め有効/いよぎんフタッフサービス事件 (H21.3.27 最二小決)
特定派遣事業の事業主であるA社(途中で譲渡された派遣会社B社)の派遣労働者が、派遣先会社C社が派遣契約を終了し、派遣会社が雇い止めしたことを違法、無効であるなどと主張して、派遣元、派遣先との雇用契約の存在確認と、賃金請求及び損害賠償の請求をした事件。
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私病が発症寸前まで増悪なくば因果関係あり/内之浦町教委職員事件 (H19.12.26 福岡高判)
教育委員会の職員が、心臓疾患の既往歴があり、心臓バイパス手術を受けたが、休職後復職し、通常の勤務をしていた。町主催の親睦バレーボール大会に臨時に出場した職員は、競技中に急性心筋梗塞を発症し、救急車で入院したが、間もなく死亡した。
職員の子である一審原告は、地公災法による公務災害の認定を求めたが、地公基金鹿児島県支部は公務外の認定処分をした。これを不服として訴えたもの。
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派遣先に直接雇用された期間は出向契約/ラポールサービス事件 (H19.11.16 名古屋高判)
期間の定めの無い契約の派遣労働者が、派遣期間1年の規制のため、クーリング期間の3ヶ月間派遣先会社に直接雇用され、3ヶ月経過後に派遣元会社から雇用継続を拒否されたことから、この派遣労働者が、解雇権濫用により無効を主張、地位確認と賃金の支払を求めた事件。
使用者側は、受け入れの拒否の後、他社での就労を勧めたが拒否されたのでやむなく解雇したと主張した。
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偽装請負で請負会社の労働者の黙示の労働契約/松下プラズマディスプレイ事件 (H20.4.25 大阪高判)
大手メーカーの子会社で働いていた下請会社の元従業員が、子会社に約6ヶ月の短期契約で直接雇用された後、雇止めとなったことから、この雇止めを無効として子会社を訴えた事件。元従業員は労働局に偽装請負を申告したため、労働局の指導により、子会社が約6ヶ月間の直接雇用していたもの。
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店長は経営者と一体でなく管理監督でない/日本マクドナルド事件 (H20.1.28 東京地判)
ファーストフード店の店長が、労働基準法の管理監督者として取り扱われ、時間外・休日労働の割増賃金が支払われなかったことから、未払いの割増賃金の支払を求めて提訴したもの。
店長側は①店長はアルバイトの採用権限はあるものの社員の採用権限はない②参加する店長会議は、会社がすでに決定した営業戦略などを店長に徹底させるものでしかない③営業時間中は基本的に在店していなければならず、出退勤の自由がない④割増賃金が支払われる部下よりも年収が少ない―などとして管理監督者に当たらないと主張した。
会社側は①店長は数十人の従業員の勤務シフトを作成し、店舗における従業員の指揮監督を行っていた②アルバイトの採用や従業員の人事考課、昇給の決定などの労務管理を行っていた③賃金について、その職務の特質に即した額、方法による賃金が支払われている―と反論した。
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客室乗務員の地上職への配転は権利の濫用/ノースウエスト航空事件 (H20.3.27 東京高判)
航空会社の客室乗務員5人が、地上職への配転命令は権利の濫用だとして、配転命令の無効と配転により被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払などを求めた事件。会社と労働組合は「会社は、資質、適性、能力がある限り、客室乗務員としての職位を失うことがないよう努力する」旨の労使確認書を締結していたが、会社は経営不振による客室乗務員の削減方針を決定し、地上職への配転を行った。
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晩酌やプラモデル製作も待機中で労働時間/大林ファシリティーズ事件 (H20.9.9 東京高判)
住み込みの夫婦によるビル管理人が、長期間にわたり時間外労働を行ってきたとして、ビル管理会社を相手に夫の分を相続した妻が双方の分の時間外割増賃金と賃確法6条による14.6%の遅延利息、労基法114条による付加金及び遅延損害金の支払を求めて提訴したもの。
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減額やむを得ないほどの経営悪化 認めがたい/日本電信電話ほか事件 (H20.7.9 東京高判)
適格退職年金制度を運用していたN社及びそのグループ会社が、確定給付企業年金法に基づき規約型企業年金に制度移行して運用していたが、平成17年9月に、企業年金の予定利率を2.0%から1.3%に引き下げること、すでに給付を受けている受給権者等についても定率の給付利率(7.0%又4.5%)及び据置利率(5.5%又3.0%)を廃止し、10年国債の表面利率を基準として計算した変動利率とするキャッシュバランス制度の導入を内容とする規約変更の承認申請を厚生労働大臣に行った。
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うつ病発症は業務上だが予見可能性ない/立正佼成会事件 (H20.10.22 東京高判)
執行役員に就任した原告が4年間勤務した後に退任するに当たって、会社が退職慰労金の支給を見送ることを決定し、これに合わせて執行役員退職慰労金規則を改定した。
原告は、内規である退職慰労金の規則所定の金額の退職金の支給が、明示的、または黙示的に、執行役員就任契約の合意の内容となっていたことなどを主張して6000万円の支払を求めた事件。
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執行役員は委任関係にあり労働者でない/三菱自動車工業事件 (H19.11.16 最二小判)
執行役員に就任した原告が4年間勤務した後に退任するに当たって、会社が退職慰労金の支給を見送ることを決定し、これに合わせて執行役員退職慰労金規則を改定した。
原告は、内規である退職慰労金の規則所定の金額の退職金の支給が、明示的、または黙示的に、執行役員就任契約の合意の内容となっていたことなどを主張して6000万円の支払を求めた事件。
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労災給付一部でもあれば労基法義務免れる/神奈川都市交通事件 (H20.1.24 最一小判)
タクシー運転手が業務中に交通事故により休業したが、症状固定の認定を受けて、その後は通院日のみ休業補償休の対象とされた。また、タクシー業務に復帰するまでは自動車修理工場などで作業に11月27日から4月4日まで従事させ、その後4月16日から運転業務に復帰した。
このタクシー運転手が、タクシー業務に従事するまでの賃金、休業手当、休業補償と会社が示談交渉をせずに放置したことに対する慰謝料など合計296万円余の支払を求めた事件。一方、会社は休業補償給付額の立て替え金68万円余の支払を求めている。
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職務に同質性あり賃金格差は不合理/兼松事件 (H20.1.31 東京高判)
女性事務職6人が、同期の男性一般職との賃金格差は違法な女性差別だとして差額賃金の支払いを求めて会社を訴えた事件。この会社は、均等法制定前は男女のコース別処遇制度としていたが、同法の施行に伴い制度を改め、大部分が男性の一般職と全員女性の事務職とで異なる処遇制度としていた。
会社側は、女性らは定型的・事務補助業務担当者として、また、勤務地が限定された者として採用され、転勤のないまま従事してきたものであり、事務職である女性らと一般職である社員との間の賃金の格差は従事する業務の違いや転勤の有無の違いによるもので、性別を理由とするものではないなどと反論した。
一審判決(平15.11.5 東京地判)は、同制度は職種別ではなく、男女別制度で憲法の趣旨に反するとしたが、実定法に性に基づくコース別採用・処遇を禁止する規定がないなどとして、違法ではないと判断していた。
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就業規則に規定ない年俸の一方的決定権ない/日本システム開発研究所事件 (H20.4.9 東京高判)
20年以上前から、40歳以上の研究員を対象に個別交渉によって毎年の賃金額を決定する年俸制を実施してきた研究所だが、就業規則の変更を行わずに実施してきた。平成15年と16年度には研究室長を含む研究員が評価の基礎資料となる「付加価値計算表」の提出を拒んだ為、研究所側は14年度のまま賃金額を凍結して支給した。
平成17年度には組織体制や給与体系の変更など経費削減を行って、その一環として賃金体系を変更し、定性評価と定量評価のうちの定性評価を廃止して、理事長が自ら行う定量評価のみで個人業績評価を行うこととした。これに対して、従前よりも減額される年俸金額に原告らが同意をしなかった。また、年俸非適用者であった者一人も業績評価ランクを7から4にして、賞与を減額するとともに研究管理手当を減額し、過払い分を冬季賞与から減額した。
これに対して、原告らが差額の支給を求めて訴えたもの。
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低評価を理由の再雇用拒否は有効/日通岐阜運輸事件 (H20.9.8 岐阜地判)
貨物運送会社の従業員として働いてきた原告が、定年退職後に同社に再雇用されなかったのは不当であるとして、地位の確認および再雇用期間中の賃金の支払を求めた事件。
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転職勧誘を理由の懲戒処分は無効/モルガンスタンレー証券事件 (H20.10.28 東京地判)
部下と共に同業他社へ集団移籍する為に退職届を提出した外資系証券会社の管理職を会社が懲戒解雇し、通常の退職金及び一定の職位以上にある者に支給する追加退職金を不支給とした事に対して、この管理職が懲戒解雇は無効であること、さらに退職金及び追加退職金の支払いを求めて提訴したもの。
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QC活動は労働時間で心臓死は業務上/豊田労基署長事件 (H19.11.30 名古屋地判)
工場内の詰所において、交代勤務の申し送り事項を記入中に、脳血管疾患及び虚血性心疾患を発症し、意識を失って病院に搬送され、心肺停止状態となってその後死亡した労働者の妻が、死亡は業務に起因するとして、労災保険の療養補償給付、遺族補償年金及び葬祭料を請求したところ不支給処分とされた。妻はその後、労災保険審査官に審査を請求したが棄却され、労働保険審査会も、3ヶ月以上経過しても裁決を出さなかったことから、各処分の取消しを求めて訴えたもの。
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飲酒を伴う会合に出席後の事後死でも通災/中央労基署長事件 (H19.3.28 東京地判)
勤務時間外である午後5時以降に、社内で飲酒を伴う会合に出席し、午後10時15分頃退社した事務管理次長が、午後10時27分頃、地下鉄駅の階段から転落して後頭部を打撲して負傷。病院に搬送されたものの頭蓋骨損傷により死亡した。被災労働者の妻は、この死亡事故が通勤災害であるとして労基署長に療養給付及び遺族給付、葬祭給付を請求したが、労基署長は支給しない旨の決定をした。妻はこれを不満として、労災保険審査官に審査請求したが、これも棄却され、さらに労働保険審査会もこれを棄却したため、本件提訴に及んだもの。
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体調不良者を研修に参加させたのは違法/NTT東日本事件 (H18.7.20 札幌高判)
研修中に自宅に帰り、墓参りに出かけたところ墓の前で死亡していたのが発見された社員の遺族が、社員が急性心筋虚血で死亡したのは、会社が安全配慮義務に違反して時間外労働をさせ、宿泊をも伴う研修に参加させたことが原因だとして、不法行為又は債務不履行による損害賠償を請求した事件。
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帰宅途中の介護終了後の事故は通災/羽曳野労基署長事件 (H19.4.18 大阪高判)
事業場からの帰宅の途中で、義父の自宅で1時間40分の介護を終了させた後に、自宅へ向かう途中で事故にあった労働者が、通勤災害として休業給付の請求をしたところ、所轄労働基準監督署長が、通勤災害には当たらないとして不支給処分を行った。
原告は、これを不服として労災保険審査官に審査請求したが、審査官は「義父宅から被災者の自宅までの経路は通常の合理的経路に復していないことから、逸脱・中断後の特例には該当せず、その後の行為については、通勤災害とは認められない」と判断して棄却した。
のとみるのが相当であり、就業関連性は認められず、これを労災保険法上の通勤と認めることはできない」として、これも棄却したため提訴に踏み切ったもの。
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人事院勧告に基づく賞与の減額調整は有効/福岡雙葉学園事件 (H19.12.18 最三小判)
人事院が行う人事院勧告に基づいて、毎年11月頃、給与規定を改定して給与を増額し、4月分から11月分の差額を別途支給していたところ、人事院勧告が月例給の引き下げを勧告したことから、その差額を期末勤勉手当から控除(調整)して支払った。これに対して職員側が、労働条件の不利益変更は個別労働者の合意があることを要件とし、それがないときは、やむをえないものであるなど特段の事情が認められなければならないとし、特段の事情が認められないので、その調整は効力が認められず、その差額と遅延損害金が支払われるべきと訴えた事件。
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酒気帯び運転で懲戒解雇有効/ヤマト運輸事件 (H19.8.27 東京地判)
セールスドライバーとして勤務していた原告は、業務終了後、飲酒により自家用車を運転していて、酒気帯び運転で検挙され、運転免許停止30日(講習受講により1日に短縮)、罰金20万円に処せられた。被告のマネージ社員就業規則第43条では、業務内、業務外を問わす飲酒運転及び酒気帯び運転をしたときは解雇する旨定められていた。さらに、退職金支給規定では、第6条で「懲戒解雇の場合は、就業規則第41条第7号に基づき退職手当を支給しない。ただし、事情によりその全額又は一部を支給することがある」と定められていた。しかし、その後、緊急通達により「酒気帯び運転等の事後発覚は情状の処置が行われない」とする扱いを定めた。原告は、退職金は功労報償的性格も有するが、基本的な性格は賃金の後払いであり、不支給とするには労働者のそれまでの勤続の功を抹消するほどの信義に反する行為でなければならず、酒気帯び運転は私的運転であり、懲戒解雇に該当せず、退職金の不支給にもあたらないと主張した。
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自殺原因は上司の発言による精神障害/静岡労基署長事件 (H19.10.15 東京地判)
マンション建設現場で、大工として稼動していた者が、内装工事中に負傷した。労災保険の療養補償給付と休業補償給付を請求したところ、労災保険法上の労働者ではないので、支給しない旨の処分を受けた。そのため、その処分の取り消しを求めて争った事件。
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同業他社へ就職で退職金半額返還は有効/ヤマダ電機事件 (H19.4.24 東京地判)
元店長が退職後、誓約書に違反して、同業他社に就職したことを理由として、店長であったときの会社が、元店長に対して、誓約書に基づいて、退職金の半額及び退職時の直近の給与6ヵ月分の支払いを求めた事件。原告である会社は、フロアー長以上の地位にある従業員が退職する場合には競業避止義務及び秘密保持義務を負わせることとしており、被告が退職した当時は、同業社へ転職しないことを制約する旨役職者誓約書を提出しなければならないとされていた。被告は、同業他社に就職すると誓約書に反することになるので、派遣会社に登録し、1年間は派遣労働者として、同業社に勤務し、1年経過後に、入社したもの。
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再任用拒否で期待権侵害あり慰謝料払え/中野区非常勤保育士事件 (H19.11.28 東京高判)
1年任期で任用が繰り返されてきた非常勤保育士について、指定管理制度の導入に伴い非常勤保育士を廃止することとし、それ以降の任用をしなかった中野区に対して、非常勤保育士らが、解雇権濫用法理の類推適用によって再任用拒否は無効だと主張。更に、再任用の期待を侵害する不法行為があったとして、慰謝料の支払いを求めた事件。
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入社試験経ず仕事諾否あり労働者でない/朝日新聞社事件 (H19.3.19 東京地判)
新聞社において、翻訳や記事執筆を行っていた原告3人が、契約を打切られたことから、契約が雇用契約であり、雇用契約上の労働者の地位の確認と、それまでの賃金の支払い及び年6分の金員の支払いを求めた事件。
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私生活上のトラブルでも懲役処分は有効/A社(ストーカー)事件 (H19.4.27 東京地判)
放送番組の制作の業務で知り合った社外の女性に対して、私的な連絡を取り合っていたところ、その女性らとトラブルになり、執拗に脅迫的言動を繰り返した労働者に対して、会社は6ヵ月の懲戒休職処分と配置転換を行った。これに対して、本人は、私生活上の言動を理由に懲戒処分を行ったことは無効であり、その間の賃金支払いと配転命令の無効、不法行為による慰謝料の支払を求めて訴えた事件。処分された労働者は、懲戒処分の根拠となった就業規則が「訓示規定的な抽象的な規定の域を出ない」として不明確であり、無効だと主張、私生活上のトラブルの存在を公表する懲戒処分を掲示されたことによる名誉毀損も主張した。
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合意ない年棒額は提案額が最低合意額/中山書店事件 (H19.3.26 東京地判)
年棒制の導入に伴い、その適用を受けた労働者が、同意に基づかずに年棒額を減額することは許されないとして、従前に合意している年棒額と、実際に支払い額との差額を請求した事件。さらに、すでに合意している年棒額を基礎として算出された残業代と、実際に支払われた残業代との差額をも請求している。
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不活動時間も労働時間だが休日は実働のみ/大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件 (H19.10.19 最二小判)
一審判決は、管理日報から、終業後の管理業務や住民対応についても、労働時間にあたること、平日と土曜日の始業時刻前、日曜、祝日の同時間帯いずれも労働時間として、賃金及び割増賃金の支払いを命じている二審判決もほぼ同様の判断を示したが、2人分の賃金を認めた日曜、祝日の業務や、平日の深夜、早朝の業務は、夫婦の一方は自由な時間利用ができたとしてその分を減額した。なお、一審では賃金支払確保法に基づく利息の14.6%を命じたが、二審はこれを取り消し、商事法定利率の6%を付すように変更した。
本件判決では、土曜日の業務についても1人分の労働時間と認め、日曜日・祝日については、現実に労働した時間に限り労働時間として認めた。さらに、平日においても犬の散歩や、通院の時間は会社の指揮命令下にあったということはできないとして、これを控除する必要があるとして、結局、すべて破棄を免れないとして、原審に差し戻した。
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年を超える時間外不払いに損害賠償/杉本商事事件 (H19.9.4 広島高判)
もと労働者が、在職中の時間外手当及び労基法第114条に基づく付加金、退職金の停年退職と既払い退職金との差額の80%、時間外手当を支払わずに長時間労働をさせたという不法行為に基づく損害賠償金及び慰謝料を請求した事件。
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賃金減額でも高度の必要性あり合理的/ノイズ研究所事件 (H18.6.22 東京高判)
職能資格制度に基づき職能給を支給する年功序列型の賃金制度から、職務等級に基づく職務給を支給して、降給もありうる成果主義に立つ賃金制度に変更した結果、降格され賃金を減額された労働者が、就業規則の変更は無効であり、仮に就業規則の変更が無効でないとしても、格付けが不当であるとして、本来得られる賃金額との差額の支払いを求めた事件。新賃金制度では、経過措置として、賃金が減額された場合は調整手当を支給することとし、1年目は下回った額の100%、2年目は50%とし、3年目は0となっている。
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著しく不利な状況下でのロックアウト有効/安威川生コン事件(H18.4.18 最三小判)
生コンクリートの製造を営む企業(上告人)に雇用され、車両の運転等の業務に従事してきた従業員ら(被上告人)が、ロックアウトにより就労することができなかった期間の賃金の支払いを求めて訴えた事件。
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組合活動でも国民の基本権利侵せない/東京中部地域労組事件(H17.6.29 東京高判)
A社に勤務する従業員であった者Bが、平成11年4月8日に普通解雇の通知を受けたことから、民事訴訟の場で解雇の効力を争ったが、平成14年6月27日に最高裁判所が上告棄却を決定して確定した。Bは、平成11年5月12日にC労働組合に加入し、組合やその組合員に支援を受けてきた。そこで、A社と代表取締役(当時)が、C労働組合の街頭宣伝活動により会社経営者の名誉信用が毀損され、平穏に生活を営む権利や会社の平穏に営業活動を営む権利が侵害されたとして、自宅から200メートルの範囲内における街宣活動の差し止めを求めるとともに、不法行為に基づいてBと組合役員2名に対し、損害賠償を当時の代表取締役に75万円と会社に460万円をそれぞれ求めた事件。
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民事再生中でも整理解雇の4要素から判断/山田紡績事件(H18.1.17 名古屋高判)
紡績業と不動産業を営んでいた会社を廃止するとして、従業員らを解雇したところ、従業員が解雇は解雇権を濫用したものだとして、労働契約上の地位の確認と未払い賃金の支払いを求めた事件。会社は、民事再生法の再生手続の申立後の解雇で、従来の整理解雇の概念に該当しないなどと主張していた。
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年金額下げても利益著しく損なわない/松下電器産業グループ事件(H18.11.28 大阪高判)
会社が私的に運営する福祉年金制度に、退職金を原資として、加入した元従業員らが、それぞれ年金契約を締結していたが、途中で年金支給額を減額されたことで、各年金契約に違反し、違法無効であるとして、減額前の年金額を支払う義務がある旨主張し、減額前の年金額との差額の支払いを求めた事件。
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4回更新しても派遣先との労働契約成立せず/一橋出版事件(H17.7.25 東京地判)
編集業務に従事していた派遣労働者が、派遣契約の打ち切りを理由に派遣会社から雇い止めを通告されたため、派遣先との黙示の労働契約が成立しているなどとして、派遣先には、労働契約上の地位の確認と労働契約終了後の賃金の支払い、派遣元には派遣労働契約の存在の確認を求めた事件。
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賞与の減額も労働契約に当たり個別同意必要/福岡雙葉学園事件(H17.8.2 福岡高判)
私立学校を経営する学校法人が、人事院勧告に基づいて、平成14年12月10日、平成15年12月10日に支給すべき期末勤勉手当が減額支給されたことについて、労働者側が違法に減額されたとしてその差額の支払を求めた事件。学園は、昭和51年以来、給与改定を人事院勧告に準拠して行ってきた。平成14年及び平成15年の給与改定についても、マイナス勧告であったが、これに従って、期末手当で「調整」をした結果、減額して支給した。
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育児休業申出者の雇止めは合理的理由なく無効/日欧産業協力センター事件(H17.1.26 東京高判)
1年契約で自動更新されていた女性職員が、育児休業を申し出たところ、これを拒否され、出勤したものの仕事も与えられず、ついには雇止めを通知された。女性職員は、雇止めは実質的に期間の定めのない契約であるから解雇権濫用の法理が適用され、解雇ないし雇止めは無効であること、育児休業の拒否は不法行為に該当するとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と解雇後の賃金(賞与を含む)と遅延損害金の支払、不法行為に対する慰謝料の支払を請求した事件。使用者側は、雇用契約は1年の有期雇用なので育児・介護休業法(旧法)の適用はないなどと主張していた。
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禁止された時間外労働に割増賃金必要ない/神代学園事件 (H17.3.30 東京高判)
労働組合の結成を機に、労働者側は三六協定の締結と割増賃金の支払いを求めていたが、会社側は、部長らは管理監督者で割増賃金の対象とはならず、返還を請求して争った事件。
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